期限つきの“かわいい”に心がざわついた日、何も決められない私の静かな夜

当ページのリンクには広告が含まれています。
くつろぐ女性
  • URLをコピーしました!

昼過ぎ、スマホの画面を指でなぞっていたら、ふわっと目に入ったのはサンリオピューロランドのオンラインショップ終了の知らせだった。2026年3月24日でサービス終了、注文受付は2月27日23:59まで──そんな具体的な期限が、淡々と並んでいる。
かわいいもののニュースなのに、なぜか胸の奥が、ちょっとだけ冷えた。

目次

期限があるだけで、心の弱い部分が浮き彫りになる

くつろぐ女性

その瞬間、私は駅前の小さなドラッグストアのレジに並んでいた。レジ横のミニお菓子が、いつもより眩しく見える時間帯。仕事の合間に外へ出ると、頭が「急いでるふり」を始める。早く帰らなきゃ、早く片付けなきゃ、早く“ちゃんとした人”に戻らなきゃ、みたいな。

でも実際の私は、今日もうまくいっていなかった。
朝から、返信を一通遅らせたまま。洗濯物を取り込むタイミングを逃して、部屋の中がずっと半乾きみたいな空気。冷蔵庫の奥にある豆腐が、もう“賞味期限”の目をしている。こういう小さな「あとで」が積もると、生活って静かに傾く。自分だけがそれに気づいていて、でも誰にも言わないまま、斜めの床で暮らしてる感覚。

サンリオのオンラインショップ終了の話を見たとき、心が冷えた理由はたぶん、かわいい世界が遠ざかる寂しさ…だけじゃない。
もっと情けないところが反応した。

“期限”って、たったそれだけで、私の先延ばし癖を告発してくる。

私は、カートに入れたまま放置しているものがたくさんある。
通販のカートもそうだし、言いかけて飲み込んだ言葉も、行こうと思って行かなかった場所も、返信しようと思って下書きに残したままのメッセージも。

「いつでも買える」
「いつでも行ける」
「いつでも言える」

この“いつでも”が、実は一番あてにならないって、知ってるのに。

ニュースには、謝罪の言葉も載っていた。迷惑をかけることへのお詫び。
でも私は勝手に、「ごめんね」って言われた気がした。
違う。謝られているのは私じゃない。なのに、私は勝手に“自分の買いそびれ”の痛みを重ねてしまった。

小さなかわいいものに救われてる日がある。
何かを頑張った日じゃなくて、頑張れなかった日のほう。
メイクがうまくいかなかった朝とか、会話の返しが遅れて自己嫌悪になった夜とか、ひとりの部屋で「人としての温度」が下がっていく感じがしたとき。そういうとき、かわいいものは、説明不要で私を保温してくれる。

だから“終わる”という知らせは、「逃げ場が一つ減る」みたいに響いた。
しかも期限付きで。
しかもカートに入れたままの私に向かって。


先に終わるのはサービスじゃなくて「私の余裕」なのかもしれない

レジの順番が近づいて、私はやっと現実に戻った。ピッ、ピッ、とバーコードが読み取られる音。店員さんの「袋はご利用ですか」の声。私は、ほんの一拍遅れて「お願いします」と言った。いつもより少しだけ、小さく。

小さくなるのって、悪いことじゃないはずなのに、私はたまに「私が縮んだ=負け」みたいに感じてしまう。
仕事でも、恋愛でも、SNSでも。
堂々としてる人を見ると、勝手に比べてしまって、勝手に負ける。誰とも戦ってないのに。

ニュースに戻る。
サービス終了は、経営判断とか運用の事情とか、きっといろいろある。それは事実として、そうなんだろう。
でも私が引っかかったのは、そこじゃない。
「終わる」ことそのものより、「終わる前に動ける人」と「終わる直前まで動けない人」に、世界が分かれて見えたこと。

私はたぶん、後者だ。

期限が迫ってから慌てて、急に熱心になる。
“欲しかった”を、最後の最後で“必要”にすり替える。
そして買えたら買えたで、少しだけ虚しくなる。
買えなかったら買えなかったで、「やっぱり私ってこう」って決めつける。

どっちに転んでも、心が傷つく仕組みを、いつの間にか自分で作ってる。

それでも今日、ドラッグストアの帰り道で、ふと思った。
私が欲しいのは、かわいいグッズそのものじゃなくて──
「かわいいものを、ちゃんと好きでいていい」という許可なのかもしれない、と。

忙しさとか、節約とか、ちゃんとした大人の顔とか。
そういう理由で、好きなものを後回しにするとき、私は“賢くなった”気がする。
でも実際は、ただ自分の心の声を無視してるだけかもしれない。
無視が上手いだけ。
それを“自立”って呼び替えてるだけ。

期限って残酷だ。
「あなたの気持ちは本物?」って、試してくるから。
本物なら動け、みたいな圧で。

だけど、動けない日だってある。
動けないままでも、好きなものは好きでいいはずだ。
たぶん。

私はまだ、ここをうまく言語化できない。
“好き”って、能力じゃないはずなのに。
“好きでいる”って、なぜか体力を使う。

今日の私の「うまくいかなかったこと」は、ニュースを読んで、勝手に胸をざわつかせて、勝手に自分を責めかけたこと。
そして、責める理由を探してしまったこと。
「買うなら早く決めなよ」
「どうせまた後回しでしょ」
「そういうところだよ」
……って、誰も言ってないのに、私だけが言っていた。


3月24日という日付が、まだ先なのに、もう“終わった”ような気持ちになった。
この焦りは、何に似ているんだろう。
恋愛で返事を待つ時間にも似ているし、仕事で締切が近づく夜にも似ている。
でも一番似ているのは、たぶん「自分の余裕が先に終わる」感覚だ。

私は、終わる前にちゃんとしたい。
でも、ちゃんとできない日もある。
その間で揺れているだけなのに、世の中の期限は待ってくれない。

……だから、今日は答えを出さないままにしておく。
焦りが刺した場所を、無理に正当化しないで。
ただ、刺されたことだけを覚えておく。

明日、私は何かを買うかもしれないし、買わないかもしれない。
でもたぶん、ほんとうに欲しいのは「間に合う自分」じゃなくて、間に合わなくても自分を雑に扱わないことなのかもしれない。

そんなふうに思った夜のことを、メインブログのほうではもう少し、別の角度から書いてみようと思う。
今日は、ここまで。


終わるのはお店で、揺れているのは、たぶん私のほうだ。


くつろぐ女性

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次