夜ごはんより先に心が折れる日、洗い物ひとつで変わったダイエットのはじまり

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洗い物と女性
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ダイエットの敵は脂質でも糖質でもなく、帰宅後のシンクだったのかもしれません

ダイエットを頑張る女性

仕事終わりの私は、空腹より先に「面倒くさい」に負けていました

ダイエットを始めようと思うたび、私はいつも食べ物のことばかり考えていました。

白米を減らそうとか、夜はスープにしようとか、タンパク質を意識しようとか、コンビニで買うならサラダチキンかなとか。

でも、ある夜にふと思ったのです。

私が本当に負けている相手は、カロリーではないのではないかと。

それは、仕事から帰ってきて、玄関で靴を脱いで、バッグを床に置いて、やっと息を吐いた瞬間でした。

部屋はそこまで汚れていないのに、なぜか生活の疲れだけが、きれいに散らばっていました。

洗面所には朝使ったヘアブラシが置きっぱなしです。

ソファには昨日脱いだカーディガンが、まるで先住民みたいな顔で座っています。

そしてキッチンのシンクには、朝のマグカップと、小皿と、なぜか一本だけのスプーンがいました。

この一本だけのスプーンが、妙に私を追い詰めるのです。

「今日も、ちゃんとできなかったね」と言われている気がするのです。

ダイエットって、意志の強さの話にされがちです。

でも、30代の毎日は、そんなにシンプルではありません。

朝から人に気を遣って、仕事で笑顔を作って、帰り道に明日の予定を思い出して、スマホには未読の通知が溜まっていて、婚活アプリを開けば「はじめまして」のやり取りをまた一から始めなければいけません。

そんな日に、家に帰って、シンクに洗い物がある。

たったそれだけで、私は自炊を諦めます。

そして、なぜか予定より濃い味のものを食べたくなります。

お腹が空いているというより、気持ちが投げやりになっているのです。

「もう今日はいいや」

この一言は、ダイエット界でいちばん太りやすい呪文かもしれません。

4月27日の春の夜、冷たいサラダより温かい味噌汁が勝つ日があります

今日は4月27日です。

春も終わりに近づいて、もうすぐ立夏の気配が見えてくる頃です。

昼間は少し汗ばむのに、夜になるとまだ肌寒くて、体も心も季節の境目で迷子になります。

こういう時期に、急にストイックなダイエットを始めると、私はだいたい失敗します。

冷たいサラダを食べながら、心の中でラーメン屋ののれんをくぐっている自分がいます。

だから最近、私は「痩せる食事」より先に、「洗い物を増やさない食事」を考えるようになりました。

これはかなり地味です。

映えません。

キラキラもしません。

でも、続きます。

例えば、夜ごはんを作る前に、シンクの中のマグカップだけ洗います。

全部は洗いません。

全部やろうとすると、心が反抗期になります。

マグカップだけです。

それから、お椀ひとつで終わる味噌汁を作ります。

具は冷凍野菜でも、豆腐でも、卵でもいいです。

完璧な栄養バランスではなく、「これ以上、自分を嫌いにならない夜ごはん」を目指します。

ここが大事です。

ダイエット中の食事は、体重を減らすためだけにあるのではなく、夜の自分を責めすぎないためにもあるのです。

私は以前、ダイエットといえば、何を食べるかばかり気にしていました。

でも本当は、何を食べるかより前に、「食べる前の自分がどれだけ疲れているか」を見たほうがよかったのです。

疲れた女性は、栄養より先に安心を食べたくなります。

だから、甘いものが欲しい日があります。

しょっぱいものが欲しい日があります。

急にポテトが人生の親友みたいに見える日もあります。

それを全部「意志が弱い」で片づけるのは、少し乱暴です。

私たちは弱いのではなく、毎日ちゃんと消耗しているのです。

びっくりしたのは、痩せ始めた理由が「食べたもの」ではなかったことです

そしてここからが、少し意外な話です。

私はこの「シンクを敵にしないダイエット」を始めてから、体重より先に、あるものが減りました。

それは、夜の自暴自棄です。

食べすぎた日でも、前ほど落ち込まなくなりました。

なぜなら、私はもう「完璧なダイエットを失敗した人」ではなく、「今日はマグカップだけ洗えた人」になったからです。

たったそれだけなのに、夜の終わり方が変わりました。

すると不思議なことに、翌朝の顔が少し違いました。

むくみが軽い日が増えました。

夜中にスマホを見ながらお菓子を追加する日も減りました。

食事内容を劇的に変えたわけではありません。

ジムに通い始めたわけでもありません。

高級なプロテインを買ったわけでもありません。

ただ、帰宅後のシンクを見て、自分を責める時間を減らしただけです。

ここで私は、少し怖いことに気づきました。

私が太っていた理由は、食べることが好きだからではなかったのかもしれません。

「どうせ私なんて」と思った夜に、自分を雑に扱っていたからかもしれません。

ダイエットの本当の敵は、脂質でも糖質でもありませんでした。

私の場合は、シンクに残った小皿と、一本のスプーンでした。

もっと言えば、それを見た瞬間に始まる、自分への小さな失望でした。

だから今夜も、私は痩せるために腹筋をするのではなく、まずマグカップをひとつ洗います。

それから温かい味噌汁を飲みます。

そして、もし余力があれば、明日の私のためにスプーンも洗います。

びっくりするくらい地味です。

でも、30代のダイエットって、案外こういうものなのかもしれません。

体を変える前に、夜の自分への態度を変えること。

食べる量を減らす前に、自分を責める量を減らすこと。

それが、春の終わりに私が見つけた、誰にも映えないけれど、少しだけ人生が軽くなるダイエットです。

洗い物と女性

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